「30代が聴くロック〜やっぱ自分の踊り方で踊ればいいんだよ〜」 

elekashi.jpg  第2回「THE ELEPHANT KASHIMASHI 2
       / THE ELEPHANT KASHIMASHI」

  03/1/3 at 関家
  お:大根仁
  さ:薩本紀之(広尾のロック花屋「温花家」社長)
  せ:関弘(市川の尾崎豊・オフィストコトコ社長)
  嫁:関嫁

お「じゃあ2回目ということでね・・・」

さ「(関に)な?大根急に変わるだろ?」

お「いやいや大好評ですよ。この間のは」

せ「あんなのついてこれるヤツいんのかよ?って」

お「いやいや、ほらBBSとか見た?」

さ「ほとんど書いてなかったよ」

せ「3人くらいじゃん?」

お「いやいや1人だよ。しかも社内のシゲル君っていう元ラッパーのさ・・・あれお題が悪すぎたよ」

さ「だって大根が言ったんじゃん」

せ「あのページから飛んでアマゾンから買い物した人ぜってーいないよなあ・・・何リンク貼ってんだよって」

お「違う違う、あれホントはアルバムの写真と解説にしようと思ったんだけど、なんか色々めんどくさいんだって」

せ「あ、そうなんだ」

お「厳密に考えると権利とかあるからさ」

せ「うそ〜?網元が商売っ気出しただけじゃないの?・・・ああやればいいんだ?」

お「そうそう、いいらしいよ」

せ「ふう〜ん、そういうのがあんだ」

お「そうそう。あの頭のジャケットでさえ違法らしいよ」

せ「へえ〜」

お「・・・じゃあ、ということでね、第2回は関君を迎えて「THE ELEPHANT KASHIMASHI 2」で」

せ「「ツー」なんだ?」

お「「ツー」ね。「ツー」ね?アコちゃん(関嫁)」

嫁「オーケー」

せ「「ツー」は俺はちゃんと入れてたからね。「21世紀に残したい名盤」(温花家アンダーグラウンドサイトでの企画)に」

さ「入れてねえよなあ?「浮世の夢」だったよなあ?」

せ「違うよっ!2つ入れてたじゃん、俺。しかも文字化けしちゃって「2」が「・・」になってんだよ。俺と誰かもう1人。「おいおいこれじゃわかんねえよっ」って」

お「俺だよ。そのもう1人って・・・まあいいよ。じゃあ薩本君から」

さ「何を?」

お「思いのたけを」

さ「そうだなあ・・・こういう雰囲気ダメなんだよ。普通に喋って行こうよ」

お「ああ・・・」

せ「88年12月ですね。何年前よ?14年前?ハタチ?」

お「当時、野澤君と一緒に暮らしてる時で「ROCK'N ON JAPAN」に出てたんだよな」

せ「俺覚えてるよ「ファイティングマン」あのメイプルコーポ(大根&野澤が住んでた家)で聴いたの。大根が買ってきてさ、シングル。室岡とかもいてさ」

お「ん?どっちが先だっけ?アルバムとシングル?」

せ「いや「ファイティングマン」買ってきたよ最初、シングルを」

お「だって「ファイティングマン」シングルになってねえもんなあ?」

せ「あれえ・・・?」

お「話になんねえよっ!これじゃ」

せ「あっ、じゃあ「デーデ」、「デーデ」「デーデ」。「話になんねえよ」って言われちゃったよ。もういいよ、黙るよ。「デーデ」だよ。室岡すげー感動してたぜ。大山もいたな」

さ「・・・な?「エレカシ1」の話になってるだろ?」

お「まあ取っかかりはいいじゃん。まあ、その「ROCK'N ON JAPAN」で読んで興味を惹かれたんですよ」

せ「その「自分が持ち込んだ」って所からいきたいわけね。エレカシ文化は」

お「そう。持ち込んだんですよ。自慢したいんですよ」

さ「俺はねえ、あのスライダーズのズズがバイクで事故って怪我して活動休止して、そんで足直った休止明けの初ライブが「汐留PIT」で・・・」

お「ああ、RCと」

せ「ああ、見たんだ?あれを」

さ「そうRC&スライダーズのつもりで見に行ったら、前座でエレカシが出てきて「誰〜?」なんてざわついてる客に宮本が「うるせえっ!文句あるならここ来たら?」・・・」

お「村八分だ」

さ「そう「村八分だ」って思ってさ」

お「パクってんのかなあ」

さ「あれはパクってんでしょう、そのまんまだったもん」

せ「チャーボーなの?」

さ「うん。で、そん時は曲とかは「まあいいなあ」くらいに思ってさあ」

お「そんなに感動はなかったんだ?」

さ「うん」

せ「だってもう当時の薩本はヨコノリだったじゃない」

お「襟足長かったしなあ」

嫁「うそぅ〜・・・」

お「ホントホント」

せ「いくらなんでももう短かっただろ、ハタチん時はあ。その5年前くらいだろ」

さ「ちょっと膨らんでねえか?」

お「後髪だけ長かったんだよ」

嫁「うそぅ〜・・・」

お「Tシャツとかまくってたもん」

嫁「うそぅ〜・・・」

せ「あ、でも俺も知り合いになる前までそういうイメージだったなあ。まさかロックなんて思ってもみなかったなあ」

嫁「いやあ〜見た〜い」

お「緑のローファー履いてたし」

せ「あれはローファーじゃねえよ」

お「ローファーだよなあ?」

さ「・・・いやさあ「エレカシ2」の話しようぜ」

せ「そりゃそうだよ。やめようよ。その頃の容姿の話とか。みんなスネに傷持ってんだからさあ。誰しも・・・一昨日さあ「青春のベスト100」みたいので吉川晃司の「モニカ」見てさあ、ひっくり返ったなあ。こんなの真似してたのかよって。しかも何も言う前に嫁が「カッコ悪〜い」ってさあ・・・」

お「で「ちょっと待てよ」と」

せ「いや全然。確かになあこりゃ無しだよと」

お「関はガクランに肩パット入れてたからねえ」

せ「入れてねえよ」

お「マジで」

さ「何が「マジで」だよ・・・それでそのライブのあと「エレカシ1」を聴いたんだよ」

せ「「デーデ」から入ってな。メイプルコーポでな」

さ「で、当時「エレカシ1」はあんまだったよ。「1」はさ、なんかさ「BLUE DAYS」とかでさ社会に順応できないっつうか、宮本も当時大学生だったんだろうけどさ・・・」

お「うん。大学2年?3年だっけ?」

さ「うんまあ、それで学生生活が「地獄絵図」みたいな歌でさあ・・・」

お「うんうん」

せ「あ、でも当時は共感しないんだ?」

さ「うん。全然俺の方が「地獄絵図」だろうって。そんなこと曲にしちゃうなんて温いんじゃないかって。温い温いって・・・」

せ「そんなところでも勝負してたんだ」

お「全然知らなかった」

さ「うん。だから曲聴くと全部わかるんだけど、それを曲に出来ちゃうところがちょっと安っぽいっつうか・・・」

せ「へえー」

お「共感出来過ぎっていうことね」

さ「そうそう」

お「150%理解できるんだ」

せ「近親憎悪だ」

さ「そうそう。そういうのがあって「2」が出て「2」はもう「1」のそういうのは全然無くて「裸足で固い地面を踏みならす」とかきて・・・」

お「お前ちょっと話そうと思ってること仕込んで来てない?」

さ「いやいや・・・」

せ「前回と違ってやたら段取りいい良いよなあ」

お「うんうん」

せ「整理出来てるもんなあ」

さ「・・・いや、それで文学性みたいのが出てきてさあ、「1」ん時は「俺の方が」・・・」

お「「上だったのにぃ」って」

せ「「文学性があるだろ」みたいな」

さ「・・・それが「2」になって、そこには俺には理解できない何かがあるんだなと思ってさ」

せ「そんなこと考えてたんだあ。すげえなあ・・・」

お「俺も「1」はねえ、確かに・・・渋谷陽一とかがすごい騒いでたんだよねえ?そういうのでちょっといいなあと・・・ほら俺「渋谷派」だからさあ」

さ「何だよ?「渋谷派」ってえ?・・・あ「渋谷」ね」

お「あ「陽一派」ね」

さ「「渋谷派」かと思っちゃった」

お「ああ「渋谷系」とかね。違う違う。だからさ、そういうので一応受け入れられたんだけど、確かに「甘いなあ」っていうのは俺もあったんだよ、これは」

さ「うん」

お「単純に「かっこいいなあ」と思ったけどさ。だって曲とかかっこよかったじゃん。今聴くと結構薄っぺらいんだけどさ」

せ「・・・で「2」はどうなのよ?」

お「「2」はねえ、あのアルバムは理解できたのはたぶん全国で300人くらいしかいないと思うんだけど」

せ「へえー」

お「全部ね。頭のフレーズから「待つ男」の最後に音まで。で、その300人のうちの1人だなと思うよ。マジで」

さ「「2」はもう明らかに「生活」に向かっていってるよね」

せ「ああ、過渡期だよね」

さ「「1」があって「生活」があって「2」はもう「生活」に入って行ってるかなあ」

せ「もうひっくり返ったもんねえ?最初「優しい川」とか来たらねえ。「1」からのあの変わりっぷりときたらねえ」

お「でも、あの「1」の最後何だっけ?」

さ「「花男」」

せ「「花男」は良いよねえ」

お「「花男」はちょっと匂いがあるもんねえ・・・「2」に向かう」

せ「「花男」好きだなあ・・・」

お「「1」は持ち歌で全部作っちゃった感じすんじゃん」

せ「俺「星の砂」とか全然わかんなかったなあ・・・あ、そうか「星の砂」は「1」か・・・」

お「いいよ、その辺は全然気にしないで」

せ「俺なんかほら、出が尾崎だからさあ・・・どうしても・・・」

お「カミングアウトだ」

せ「・・・「星の砂」とかわっかんねえ〜・・・」

お「逆説的に歌ってるってことすらも」

せ「いや、それはわかるんだけど、だからそれが何の意味があるのかわかんないんだよね。何でこんなことを・・・しかも必ずライブではさあ「ほ〜し〜む〜す〜め〜」とか言ってたじゃん」

さ「ああ、言ってた言ってた」

せ「つまんねえなあ〜と思ってさあ」

お「今は演んないのかね?」

さ「ずっと演ってたけどね「デーデ」〜「星の砂」って流れは」

せ「うん」

お「「ファイティングマン」は演るけどねえ」

さ「この間「eZ」で出てたよ・・・あれさあ「eZ」で放送したのは「ふわふわ」だったよなあ?客電渋公は。俺覚えてるんだけどさ。で、#1〜#15まで見たんだけど「ふわふわ」やってないんだよなあ。で、記憶に無いので客電渋公から「ファイティングマン」演ってるんだよなあ・・・」

せ「今やってるの?「eZ」」

さ「うん」

お「この間「「eZ」やってんじゃん」ってテレビつけたらバービーボーイズやってたよ・・・。また長えんだよ、バービーボーイズが・・・。聴きたくねえのに2曲くらいやるんだよ」

さ「変なの多いんだよな。見るとこちょっとなんだよな。貴重なのはちょっとで、あとみんな変なの」

お「すげえんだよ、杏子とか・・・」

さ「この間、目黒鹿鳴館の「待つ男」やってたよ」

お「え?ほんと?」

さ「うん。見に行ったよな?目黒鹿鳴館」

お「行った行った」

せ「俺も行ったよ」

お「いや、お前はいないんじゃないの?」

せ「行った行った、俺チケット買いに行ったの覚えてるもん。一人で車で。フリー企画のライトエース乗って・・・あれでしょ?休止中でしょ?」

さ「違う違う。もっと前、前」

せ「別口?」

さ「別口別口。デビューすぐ後くらい」

せ「あ〜それ行ってねえかなあ・・・」

さ「あとでもう1回やってるんだね。たぶん」

せ「え〜でもすげー昔だよなあ・・・え〜?・・・」

お「いいよっ!もうその話はっ!・・・「2」はさあLP出てないんだよね。ちょうどCDに切り替わりだったからさあ。で、俺CDプレイヤー持ってなくてさ、しょうがないからカセットテープで買ったんだよ。今考えるとすごいよねえ。あれLPと同じ値段で打ってたんだよ。だから「エレカシ2」っていうと俺の中ではカセットテープの記憶なのよ。それをあの「フラワーショップふくだ」(大根、薩本がバイトしていた津田沼の花屋)のフェスティバで・・・デリバリー用のフェスティバで死ぬほど聴いてたっていうね」

せ「「擦り切れるまで聴いた」だっけ?」

お「いや、ホントそうよ」

さ「「フェスティバ」っていってもわかんないから「デリバリー用のフェスティバ」って言い直すところがさ・・・」

せ「編集のこと考えてるんだ」

さ「そうそう」

お「うるさいなあ・・・ホントによく聴いたよ。今までの人生で一番よく聴いたかもしんない。アルバムとしては」

せ「でも俺も「17才の地図」の次によく聴いたかもしんない」

お「え?」

せ「今でも一言一句間違えなく歌えんじゃない。「エレカシ2」はきっと・・・かけてればね」

さ「かけてればね」

せ「そらで歌えって言われたら無理だけどさ・・・何なんだろうね?きっとみんなほら暗黒の時だったんだろうね、当時が。大根君はほら「2度と聴きたくない」って書いてあったじゃない」

お「いやいやホントにね、今聴けないよ。聴くと一気に戻るもん」

せ「泣けるな。戻る戻る」

お「だからメイプルから・・・え?いつなの?出たの。見して(と、関が持っているエレカシ本「風に吹かれて」を見る)リリースはいつなの?」

せ「だから88年っすよ」

お「「2」が?「2」が88年?」

せ「あっ88年11月21日リリース」

お「だから88年の・・・8月にちゃんとした1人暮らしを始めたんだよ。メイプルコーポを追い出されて。当時野澤君という友達と一緒に住んでたメイプルコーポを。関とか薩本が夜中騒いでばっかりいたから追い出されて・・・それでそっからちょっとしか離れていない藤崎荘っていう所に引っ越してね。1階1部屋、2階2部屋しかないんですよ。で家賃33.000円」

さ「そんな安かったんだ?シャワーねえんだよな?」

お「シャワー無かった。大家の敷地内にあってね。上に自衛隊員。下に俺」

せ「え?2階なんてあったっけ?平屋じゃなかったっけ?」

お「2階あったよ。平屋じゃない」

せ「そっか・・・じゃああの後だな・・・」

お「そうそう、朝起きて「エレカシ2」聴いて、ダビングした家用テープでさ、そんでデリバリー用の車に乗って、また聴いてっていう生活ですよ」

せ「え?じゃあハタチっていうと2年生?」

お「ハタチじゃないよ」

せ「いや14年前ったらハタチでしょ」

さ「ねえ、そんくらいになっちゃうよねえ。俺も23位だと思ってた」

せ「ハタチハタチ・・・大根が専門学校生の時」

お「専門学校2年の時だな」

さ「だから俺もお茶の水ん時だもん」

せ「お茶の水時代」

さ「大宮まで「2」発売の後ライブ見に行ったことあるんだけど、客20人くらいだったよ」

お「えー当時で?ホントに?」

さ「うん。前の丸テーブルでビール飲みながら見てたもん」

お「しかし、このアルバムは彼女がいるヤツは聴いちゃいけない!絶対!」

せ「そんなことないよねえ。やだねえ。だからあのころのお前の闇はべつにお前が・・・」

お「だから全国で300人くらいしか理解できないっていう・・・」

せ「馬鹿じゃねえのっ!だってさあ・・・十分共感できたぜ」

お「全然。それはエセですよ。だからお前らがいくら「「エレカシ2」良い」って言っても俺の耳には何にも届いてこない」

せ「こんなのお前、お姉ちゃんいなかったらわかんない歌とかあるじゃん」

お「それは奥底までわかってないっていうことだよ」

せ「宮本もいたって、そんなの」

お「宮本もいたらしいんだけど・・・それにしてもよ。それは置いといたとして」

せ「そっかなあ・・・」

お「だからその全国の300人の中に君たちは入っていない。悪いけど」

せ「入りたくもねえよ。そんなの。そんな暗黒」

さ「・・・「待つ男」の前の曲は何だっけ?B-4」

お「「ああ流浪の民よ」・・・じゃない」

せ「「自宅にて」・・・すげえなあ、いかに俺より先に言うかっていう・・・」

さ「じゃあB-2は?」

お「B-2は・・・「ゲンカクGet Up Baby」」

さ「B-1は?」

お「B-1は・・・「金でもないかと」」

さ「それA-3だよ」

せ「おうっ」

お「あれ「おはようこんにちは」は?」

さ「A-2だよ」

お「あA-2か」

せ「始まったオタクトーク」

お「いやいや「おはようこんにちは」がA-2なのは知ってんだよ。あれ?B-1は?あれ?・・・」

さ「な。大根なんてこんなもんよ」

せ「300人のくせになあ」

さ「ねえ」

お「300人はみんなこんなもんよ。その300人のうちの誰かに会ったことはないんだけど・・・」

せ「薩本は違うもん。視点が」

お「そうそうロック考古学者だからな」

せ「そんなところに勝負を挑んだ大根が悪いと思うよ」

さ「「サラリサラサラリ」だよ」

お「ああそうか」

せ「・・・だってCDしか出てないんだよねえ?AもBもねえじゃん」

お「それはカセットよ。カセット。俺も何普通に答えてんだよって思ったよ」

さ「未だに俺CD聴いててもA面とB面区切らないとダメなんだよ」

せ「ヤなんだ?」

さ「ヤ」

お「・・・あれじゃない?ビジュアルにはちょっとびっくりしたよね?エレカシはね」

さ「そうだね」

お「あのダサさ」

さ「あれでロックやってるヤツいなかったからねえ」

せ「「エレカシ2」のこのダサさはねえよ。際だってるなあ」

お「なんかさあバンドが出てきてさ、今までにない要素が1要素あるじゃない。どんなバンドでもさあ。エレカシの場合はそのビジュアルがダサイっていうのがそれでさ」

さ「ジャケットの袖まくっちゃってな」

せ「石君の頭とね。コントだもんなあ、あんなの。ナンバガ向井のルックス見たときコイツぜってーパクってんなと思ったもん。エレカシのインパクトパクってるよなあと思ったもん」

お「ちょっと弱いなと思ったんじゃねえ。そこを狙うには」

さ「ダメな大学生ルックみたいだったよね」

お「3.5流大学くらいのな」

せ「そのまんまじゃない」

お「どこだったんだっけ?宮本」

さ「「東京経済」かなんかだったと思う」

せ「よく知ってるよね。考えねえもんな」

お「だって最初ジャケット見たときぜってー成ちゃんがボーカルだと思ったもん」

せ「大根はもうね、必ずそういう事言うよね」

お「え?・・・ビジュアル的な・・・」

せ「そうそう「ルックス的には・・・」みたいなことを・・・やっぱ「BAKU-TIKU」上がりって感じするよね」

お「・・・そういう意味じゃ関君はボーカル顔だよ」

せ「出た・・・なんだよ」

お「この間「eZ」見てたら「Be-MODERN」が出ててさ」

さ「出てた出てた」

お「関に似てんだよちょっと、ボーカルが」

さ「スポットでね。なんか貴重なの見ちゃった気がしてさ、俺も」

お「お前似てるよ「Be-MODERN」のボーカル」

せ「何だろうね・・・そうだよなアイツ、シリコン入れたような顔してたもんな」

お「宮本はあの顔でボーカルっつうのがちょっとビックリしたんだよな」

さ「・・・ロックロックしてない感じだよね・・・」

お「「エレカシ2」がね」

さ「いやエレカシ自体がさ。出方がさ。のちのち「カステラ」とかがさ、そのロックロックしたのがいやでバンド名も「なんとかズ」みたいのに対抗して「カステラ」なんてつけてさ、ちょっとバカにした感じで・・・だからその以前に・・・」

せ「あ、エレカシの方が早いよねえ」

さ「だから、その「ロック」つうのに対して「バカ」みたいなさあ、「こいつら「ロック」とか言っちゃってバカじゃねえ」みたいなノリがあったじゃない」

せ「だからちょうど俺たちがそういう時だったじゃない、憂歌団とかにかぶれてみたりさ、そういうことしてるうちに・・・」

お「ちょっとルーツ探ってみたり・・・冨士夫とか見に行っちゃってな・・・よくわかんないのに・・・」

せ「だから「素で客席に向かってそんな事言ってるヤツがいる、そんでルックス普通だ、カッコ良い」みたいな、それだけじゃないのお・・・だってちょうどあれじゃん、ハタチの時っつったら薩本が泉谷の自伝とか読んでケンカしまくってた頃じゃん、ちょうど被ってるよ。「ケンカしねえと」みたいな・・・」

お「ケンカしてたの?」

さ「うん、新小岩とかで」

お「え?関と?」

さ「いや、街のニイちゃんたちと・・・泣きながら関君ち電話かけてくだ巻いたんだけど、後々になって喋ってたのが弟の高光だって事が判明して・・・」

せ「ケンカしてたよねえ、一時ね、ほんの一時ね」

さ「ボクシングサークルとか入ろうとしてたからねえ」

せ「すげえよなあ・・・泉谷読んでケンカするかよって」

さ「・・・「ココロに花を」の方が良かったんじゃねえか?」

お「いやいいよ、前回の反省も含めてこんくらいダラダラした方が」

さ「前回大根気合い入ってたもんなあ」

お「いや、でもあれも文字になれば面白かったよ」

せ「○○○(嫁になんか言っている)」

お「・・・こうやってね、嫁に気使うようになっちゃったらエレカシの声も届かないっつうことですよ」

せ「ああ〜届かなかったなあ・・・昨日ちょうど新譜のPV見たんだよなあ・・・届かなかったなあ、全然・・・あれ何つうの?」

さ「「DEAD OR ALIVE」・・・5曲入りなんだけどねえ、PVの曲より3.4曲目の方がくるよ」

せ「もう出てんの?」

さ「出てる出てる」

せ「あ、知らねえ・・・聴いてねえや」

お「ここ2〜3年の中じゃ良かった・・・やっぱ無理だよ「1」とか「2」とかさあ「浮世の夢」ぐらいのことを求めんのはさあ」

さ「でも「ガストロンジャー」はやったよなあ」

お「「ガストロンジャー」はねえ・・・」

せ「でもあれでもうちょっと売れてれば変わったんでしょ?何かがね」

さ「あんま売れなかったみたいね」

せ「一生懸命だったもんね、あの時」

お「そうか「2」ってそんなに売れてなかったんだ・・・」

さ「「生活」より売れたでしょう?」

お「まあ「生活」とか「5」とかの時がどん底じゃない?」

さ「「生活」はすごかったよなあ・・・もう「次無えよ」って思ったもん」

お「いや俺は「2」でそう思ったけどなあ・・・」

せ「でも「2」の頃ってもうライブでさあ、やってなかった?「浮世の夢」の曲を。「珍奇男」とかやってたじゃん、ライブで」

さ「うんうん」

せ「それ見てたから「どこ行っちゃうんだろう?」って・・・嬉しかったけど。全然好きだったもんなあ「珍奇男」とか・・・「何で売れないんだろう?」って真剣に思ってたなあ」

さ「最初フォークギター弾いてて途中からエレキに持ち替えるっていう形態がありえねえよなあ」

お「ローディーが出てきてなあ、「ハイ」って渡して・・・」

さ「最初っからエレキでやろうとか考えないんだねえ・・・」

お「あの雰囲気に自分で酔ってたっていうのもあると思うんだよなあ・・・宮本自身が・・・ねえ?そんなことない?」

せ「ああ・・・」

さ「酔ってるねえ・・・」

せ「まあ酔ってるよねえ。でなきゃ(雑誌の写真を指さし)こんな顔しねえよなあ」

さ「Yシャツ中に入れてな」

お「「Yシャツ」っつうのもビックリしたけどねえ・・・「Yシャツ」はいつからなの?」

さ「最初からでしょう」

せ「ミヤジはそうだったよねえ」

さ「1回だけ、いわゆるデビューライブをパワステ(日清パワーステーション)でやってるんだけど、それ関君が見に行ってるんだけど・・・」

せ「ふう〜ん」

お「「ふう〜ん」って自分のことじゃねえかよっ」

さ「そん時Tシャツでやってると思うんだけど。関君が「Tシャツだったよ」って言ってたの覚えてるなあ。ヘビの絵かなんかの。そん時だけじゃないの?白黒Tシャツ、Yシャツ、ツアーTシャツ以外は・・・」

せ「あれだよ、商売バンドんなってすぐん時にアンコールでツアーTシャツ着て出て来たんすよ。そん時に俺が言った「よっ!商売人!」っていうのが記事になってるんすよ」

お「ああ「ROCK'N ON JAPAN」にね」

せ「あれえ?「JAPAN」だっけ?「ROCK'N ON」だったんじゃない?」

お「いやいや「JAPAN」だよ。いくらなんでも。「ROCK'N ON」に登場したことは1回もないよ。」

せ「いや、してるんですよ。これ読むと。だから「ROCK'N ON」のファン向けに。「洋楽ファンにこそ、このバンドを聴いて欲しい」って。デビュー当時」

お「え?ホントお?インタビューで?」

せ「インタビューじゃない。渋谷が記事書いてんの」

お「ああ・・・「ROCK'N ON」史上、日本のアーチストでインタビュー受けてんのは清志郎と尾崎しかいないんだよ」

さ「へえ〜すごいねえ。それを知ってる大根がすげえよ」

お「表紙になったのはキヨシだけ」

せ「へえ〜」

お「どこにも売ってないんだよ。清志郎が表紙のヤツは。俺、相当探したんだけど・・・」

せ「探すんだ?」

お「探したよ」

さ「ロック考古学者としてな」

お「それお前だろ」

せ「・・・誰もわかんねえよなあ「ロック考古学者」って・・・」

お「・・・だから「アナーキー」ほど小バカにした感じで喋れないんだよねえ、エレカシは」

せ「そりゃそうでしょう」

お「生活に密着し過ぎてたかんなあ」

せ「ホント崇拝してたなあ、一時・・・宮本になりたかったもんなあ」

さ「・・・「コマ劇場」でやったよねえ」

せ「ああ、やったねえ」

お「行った行った」

せ「大根は来てなかったんじゃねえか?」

お「行った行った、覚えてるもん」

さ「じゃあ2回やってるんだ」

お「じゃあ2回目だ」

さ「1回目は「ふくだ」のバイトが忙しくて来れなかったんだよ、年末で。関君がド真ん中の1番良いところ5枚連番で押さえてたんだよ。で、来たのが俺と関君だけ・・・寝っ転がりながらワンカップ大関片手に見たの覚えてるよ。昼の部でさあ・・・」

せ「よく覚えてるよなあ」

お「薩本ホントよく覚えてるんだよ」

さ「・・・その「コマ劇場」でライブやるとかさあ、「吉祥寺ロマン劇場」とかさあ「バウスシアター」とか「鹿鳴館」とかさあ、「鹿鳴館」っつったらヘビメタの殿堂だからねえ、そういう所でしかライブやんなかったねえ。事務所がきっとそういう売り方をしてたんだろうねえ」

せ「してたんだよ。書いてある書いてある、「2」の前のインタビューかなんかで・・・事務所がだから雑誌のインタビューとか勝手に全部断ってたんだって・・・「それ宮本さんがイヤだったんですか?」って「いや知らない」って」

お「「JAPAN」に乗せられちゃったミュージシャンっていっぱいいると思うんだけど、エレカシはその最初だったんだろうねえ」

せ「ああ・・・そうだねえ」

さ「大根と一緒に見に行ったけど「客電渋公」もそうだよねえ。客電つっぱなしでさあ・・・そのライブで宮本も文句言ってましたよ。「「等身大のロック」っていうんですか?普通こう布とか下がってるよねえ?」って」

お「渋公の後ろのステージの奥にある布とか無くて、コンクリート剥き出しで・・・」

さ「「火気厳禁」とか見えちゃってな」

せ「俺も行ってるって」

お「行ってないよ、それ。悪いけど」

さ「うん」

せ「マジ?」

さ「行ってたらそのあと一緒に飲みに行ってるもん」

せ「え?疎遠な時とかじゃなくて?」

お「疎遠な時じゃなくて・・・」

さ「大根遅れてきたんだよね?」

せ「俺行ってるぜ、結構地味に・・・」

さ「(無視して)・・・で大根遅れてきて「おう薩本、コントやってるのかと思ったよ」って」

お「あ、だから俺「ふくだ」でバイトしてて、バイト上がりにそのまま行けば良かったものを、エレカシだからと思ってわざわざ家帰ってスーツに着替えて行ったんだよ」

せ「ああ・・・そういうところあったもんねえ、昔からさあ」

さ「あれ?・・・そうだよなあ、その頃って大根まだ「ふくだ」だよねえ。なんかもう業界の仕事してたってイメージあんだけど・・・」

お「全然無い」

さ「無いよなあ・・・」

お「「客電渋公」って88年でしょ」

せ「そうか・・・俺、だからもう仕事始めてたからそんなキチガイじゃなかったのかなあ・・・」

お「いやいや、始めてないって」

せ「いや、俺ハタチの時もうバリバリ仕事してたって」

お「サンルートで?あれ仕事って言わないんじゃない?」

せ「言うよ。仕事仕事。命懸けてたっての・・・」

さ「・・・そうか大根、業界じゃなかったか・・・ずっと業界だと思ってた・・・あのあと飲みに行ったんだよな?」

お「うん。「門」にな」

さ「知ってる?渋谷の「門」」

せ「知ってる知ってる」

さ「あそこになぜか行ったんだよな。したら大根がね「ビールを」って言ったらね「ビールは置いてません」って言われて「じゃあ何かウィスキーの水割りを」って言ったら、声が小さくて店員に「え?」って言われて大根「あっ・・あっ・・・あの・・・何か・・・ウィスキーの水割りを」って・・・「小せえな大根」って思ったの覚えてる」

お「全然覚えてねえ・・・何で「門」行ったかさえ覚えてねえ」

せ「なんかねえ、あったんだよその頃。「門」がすげーっていうのが。俺も何回も前通って1回も行ってない気がする。怖くて。なんかで読んだんだって。みんな共通のメディアで・・・あそこでしょう?1本入った所でしょう?」

お「そうそうセンター街の・・・」

さ「でね、そのあともう1件行ってるんだよ。なんかディスコみたいなとこ大根が入って行っちゃってさあ」

お「ええ〜うそ〜」

さ「1階が踊るフロアみたいなところ入って行っちゃってさ・・・すぐ出てきたけどね」

せ「ああ、踊ってなかった?」

さ「さすがにそれは」

お「さすがにそれはねえ、踊ってないと思うよ」

さ「店の場所も覚えてるよ」

お「マジで?」

せ「覚え過ぎだよ」

さ「それね、ずーっとライブの最初から2件目の店までウォークマンで録音しててねえ、飲んでる時の会話とかも全部入ってたんだけど、それが無くなっちゃったんだよ」

せ「もったいないねえ。聴きてえなあ、それ。その「門」のオーダーんところ聴きてえなあ」

さ「・・・そうか、その頃業界じゃないのかあ・・・」

せ「だって業界だったらあれでしょう。薩本を「門」に連れて行く前にぜってー1回下見に行くじゃん。「門」に」

お「行かねえっつうの」

せ「そういうタイプじゃん。良いとこ見せたがるじゃん。結構見せたガールじゃん。「ビール無い」なんて言われたらもう、そんなん耐えられないタイプだもん」

さ「俺は関君の姉ちゃんからもらったアナーキーの作業着着てさ・・・」

お「そうそう。腕章もしてたよ」

さ「それでバー「門」に入っていくっていう・・・頭おかしいよなあ・・・こんな若造2人入ってさあ「ビールを」って・・・」

せ「何だろうねえ・・・その頃の大根だったら新宿2丁目とかゴールデン街行きそうそうなパワーありそうだけどねえ。そういうの大好きじゃん、当時」

お「そんなことないよ」

せ「先駆者になりたいっていうのあったじゃん」

お「そんなことないよ」

せ「なんで「門」行っちゃうんだろうなあ。田舎モンだよなあ俺達って・・・「もう1ランク上行けよ」みたいな・・・「なに手頃なところでデビューしようとしてんだよ」って」

お「そんなことないよ・・・」

さ「・・・そのあとみんなで明治の学祭に行ってるでしょう」

せ「あ、それ覚えてるよ」

お「明学じゃなかったっけ?」

さ「いや明治。お茶の水。野澤もいて。でさあ、駅出たとたんにさあ、野澤が大根の頭に手あてて「健康と幸せのためにお祈りを・・・」って始めるんだよ。そんで大根がでっけえ声で「ふざけるんじゃねえよっ!」って野澤をぶん殴っちゃうの。で、周りの人が「え?なになに?」って注目してる時に野澤が「すく」って立ち上がって「よしっ!次あっち行ってやろうぜっ!」って言うの。「すっげー面白えなあ」と思ってさあ」

お「全然覚えてない・・・」

さ「それもテープ録ってたんだよ」

お「え?俺が殴ってるとこ?」

さ「いや、それは入ってない・・・けど、そのテープもどっか行っちゃったんだよ・・・その後、汐留PITに関君とかと行ったの覚えてる。始まる直前に「1曲目当てようぜ」とか言ってて・・・」

せ「よく覚えてんなあ」

さ「それで俺が「おはようこんにちは」って言ったらちょうど宮本が小さい声で「優しい川」って言ったとたん関君が「優しい川」って言っちゃって」

せ「セコ」

さ「それがテープに残ってたんだけど、それもどっかいっちゃって・・・」

お「明治ん時「優しい川」やってるかなあ?」

さ「やってないよ」

お「「優しい川」をライブで聴けた記憶が1回も無いんだよなあ・・・客電渋公は?」

さ「やってない。あん時は「おはようこんにちは」が次のシングルで発売されますってチラシ配ってた時だから・・・ファーストしか出てない。ファーストの曲全部くらいと「おはようこんにちは」しかやってないよ、たぶん」

お「俺の中ではいつまで経ってもベストソングだからね」

せ「「優しい川」が?」

お「うん」

せ「そりゃそうでしょう。今の自分を作った曲っつう、やっぱそういう思い入れがあんじゃないの?無いの?」

お「ああ・・・それは置いといたとしても・・・まあ今聴くかっつったら聴かないんだけどさ・・・」

せ「・・・でも今聴いたって「優しい川」なんて良い曲じゃん、単純に。そんなに重くないし・・・あとに比べたら」

お「それがお前らが300人に入ってない、なんつうの、原因なんだよね。その300人の俺の仲間達は未だに聴いてない・・・会ったこともないけど・・・」

せ「気持ち悪いヤツらばっかしだぜ」

お「ホントそう思うよ。俺よく抜け出せたなと思うもん。だから俺はもうさ、どうでも良かったわけよホントに。業界に入る気もなかったしさあ。「あ、この世界だ」と思ってドップリ行こうとしたところをちょっとさあ、すくい上げられちゃった感じでさあ。それはまあ、堤さんに感謝なんだけどさあ・・・あのまま、あの世界にドップリ行ってたらどうなってたことかと思うよ」

せ「・・・エレカシの事務所にこの対談のリンクを送っておけば来ますよ、仕事」

さ「俺ねえ「ガストロンジャー」出た時にねえ、フェイスフルにチラシとか送ったことあってねえ、何にも返ってこなかったねえ・・・」

せ「いや、それは違うんじゃ・・・薩本の話と大根のエピソードと・・・今の職業とリンクしてねえからなあ・・・」

さ「ガストロンジャー」出た時嬉しくてねえ・・・」

せ「「来た!」って思ったけどねえ・・・来ねえもんなんだなあ・・・」

お「・・・未だに「優しい川」が最高の詩だと思うよ、俺のジャパニーズロック史上」

せ「へえ〜」

お「なんつうの・・・ナルシズム以外の何物でもないもんねえ」

せ「・・・そうか・・・」

お「あらゆる事から孤立してる自分が好きっていうさ・・・」

さ「・・・で、ここに詩を入れとけばいいんだな・・・」

「優しい川」

作詞・作曲 宮本浩次 / 編曲 エレファントカシマシ

優しい川の流れる岸辺には

光をあびて輝く姿あり

ひらきなおる態度もあからさま

まばたきの他には動かず

諸人 生きる場所さえ せばまって

裸足で固い地面を ふみならす

とどのつまりは すみに追いやられ

わけもわからず ただ泣き寝入り

Ah 清らなる川よ

Ah 清らなる川よ

震える姿よ

優しい川の流れる岸辺には

光をあびて輝く姿あり

もくずと消えた日々など

俺の目にゃまるで止まらず

Ah 諸人よ

Ah 清らなる川よ

強がるうしろから ちらりのぞいたら

ナミダの顔が見える ナミダの顔が

せ「ああ、偉いなあ。こんな一銭にもならん仕事」

お「なるかもしんねえじゃんかよ」

せ「そうだよねえ」

お「そうだよ」

せ「ホントだよなあ。俺「クイックッジャパン」の編集長だったら引っぱるなあ、あれ読んだら「このオタク使えんじゃねえか」ってぐらいのあるよなあ」

お「あれだよ、今フミヤさんのチーフマネージャーが元「THE MODS」のマネージャーで「やりましょうよ」って言ってて「じゃあ「THE MODS」の時にぜひ」っつったら「じゃあ森山も呼びますよ」って」

せ「やったじゃん」

さ「無理だよ〜本人目の前にしてさあ・・・」

お「「FIGHT OR FLIGHT」をやる時は森ヤン呼んでさあ・・・いいじゃん、だからその辺から博多ロック全般のさあ・・・」

せ「言ってもらおうよ。「ノリーボーイ!掃除はロックやないけん」って言ってもらおうよ・・・この間あれで見たなあ、NHK-BSの「青春のベスト100」みたいので。すごいなあ、カッコ良かったなあ・・・」

さ「「激しい雨が」だった?」

せ「そう「激しい雨が」だった。でもカッコ良かったなあ。眉毛とかめちゃくちゃいじってんのなあ。化粧とかぶりぶりしてんだよなあ。かっこよかったなあ・・・」

嫁「スキヤキもう1回食べる?」

お「もういいんじゃない?」

さ「いやもう1回戦やっとこうぜ、もったいないから。チョロチョロ食うぜ・・・あれでも余っちゃうんだなあ・・・むちゃくちゃ野菜少なく買ってきたのに」

嫁「いやすごかったよ。ビックリした」

さ「白菜で悩んだんだよ。絶対1個で足りるんだけど・・・」

せ「大根だからだよね」

さ「そう。足りなかったら何言われるかわかんねえからなあ」

せ「わかるわかる・・・ウチも絶対メシなんて炊かないもん」

お「俺も今日、肉絶対少ねえなあと思ってたもん。1回戦で終わっちゃうんじゃねえかなあと思ってたもん」

さ「半分しか食ってねえもんなあ」

お「俺が非難されるなあと思ってたもん」

さ「みんな一緒だ・・・」

嫁「氷入れる?」

お「あ、お願いします」

せ「アコ!小さいグラスでいいよ・・・そんなのでやってたら又、何言われるかわかんねえからよ」

お「ダイジョブダイジョブ」

せ「孫の代まで言われるぞ」

お「そういうのやめたんだよ、俺・・・」

せ「おうアコ、それでいいよ。その有田焼でいいよ」

お「・・・まあ、だからエレカシ売れたときはホント嬉しかったよね、あれは。デビューから追っかけてきたバンドがさ・・・何年?10年?「今宵の月のように」って?」

さ「10年くらいだねえ」

お「メロディーとか歌詞とか全然甘いんだけどさあ「今宵」っていう言葉が入ってんのは嬉しいと思ったんだよなあ」

せ「でも結局あれでしょ?あのプロデューサーがエレカシのファンだっただけなんでしょ。ねえ、ああいうの良い話だよねえ」

お「・・・その頃1回見たよなあ?宮本。広尾の駅前で」

さ「売れてる時ねえ。角田が配達から帰ってきたら「薩本さん!宮本、宮本。今、第一勧銀入っていったよ」って。大根がちょうど店に来てて、俺達走って駅前まで行っちゃって。したらちょうど第一勧銀から出てきてさあ「宮本!」って叫んだら「ビクッ」って、そのまま走って行っちゃった。角田が「ポルシェ乗ってたよポルシェ」って。アイツ、ナンバーまでひかえちゃってさあ・・・」

せ「怖ええ。反射的にナンバーひかえるって・・・すげえなアイツ。どんな人生送ってきたんだよって」

お「・・・だからネタとして語れる要素がそんなに無いっていうね。エレカシの場合」

さ「俺達の話になっちゃうんだよね」

せ「そうだよねえ。生活として聴いてたからねえ」

お「笑えるさあ、エピソードめいた話がねえんだよなあ・・・密着っていうかさあ・・・」

せ「だから俺もそうだよ。サンルート(配膳の仕事)ん時さあ、毎日・・・」

お「いやいやいや、おいおいおい」

せ「そうだって。R2(スバル)で運転しながらさあ、朝。R2のカセットで。カセットっていったって、付いてないからラジカセ積んで。それで毎日・・・」

お「それはどうかなあ?それはどう?薩本?」

さ「いや、そうなんでしょ」

お「俺はちょっとねえ、エレカシっつうとなかなか意固地になっちゃうんだけど・・・」

せ「そう思うとやっぱあれだなあ。女のカラーがやっぱ出てきちゃうなあ・・・大根と違って」

お「そうそう・・・えっ?」

嫁「・・・白菜入れる?」

さ「いやもういいんじゃないっすか」

嫁「これで1個の半分なんだよ」

さ「えっ!ああそうなんだ。やっぱ1個でいいんだなあ・・・最初、自分なら「これでいいな」と思ったんだけど・・・」

お「俺の分が入っちゃったんだ?」

さ「そう。見た目もさあ「薩本ちょっとこれはねえだろ」って位少なかったの。それで増やしたんだけど・・・」

お「・・・焼酎どれが良いの?」

せ「特にお勧めはないかなあ・・・どれもうまいかなあ・・・俺よくわかんねえや」

さ「「ひとり歩き」うまいよ」

せ「「ひとり歩き」うまいよ・・・これどうしたんだっけ?(薩本がお歳暮であげたもの)」

さ「いやいやいや」

せ「あっ、あっ・・・すいません」

さ「2年後には2万円レベルだよ」

お「ええ?マジで?・・・」

さ「・・・やっぱしゃべろうと思ってやんないとしゃべらないねえ」

お「そうなんだよ。ちょっと自分の中でいいこと言おうくらいのほうがちょうど良いんだよ。いざ文字になってみると」

せ「ああ、そうなんだ・・・ああ、わかる気するなあ・・・この間の見ると」

お「そうだろ?」

せ「・・・「eZ」だったかなあ・・・渋谷のスクランブル交差点に田舎モン4人が立っててさあ、あれ好きだったなあ・・・」

お「「やさしさ」」

せ「「やさしさ」だっけ?あれ」

さ「「ファイティングマン」と「やさしさ」」

せ「ああ」

さ「で「男が行く」が出たとき同じ場所で同じ撮影してるんだよ」

せ「ああ」

お「あれはエピックにいたイサクさんっていう・・・」

さ「ああ、スライダーズもやってたねえ」

お「そうそう。「eZ」は全部やってたの」

せ「・・・「危ないよ!赤だよ!」っていうのが楽しくてなあ」

さ「あの頃のパンチ君(石君)はまだ宮本と対等にしゃべってたのにねえ・・・」

せ「ああ、だからこの間の「DEAD OR ALIVE」のPVでさあ、シルエットでまたこうやって、石君の、脱げちゃってねえ・・・すげーよなあ、ああいうの」

さ「最近のライブでねえ、よくやるじゃん?宮本があの、またずらして歌い過ぎちゃってねえ、演奏が止まっちゃったんだって。「ファイティングマン」で。で、宮本がドラムのトミのほう向いてね、怒るのかと思いきや「お前の力必要さ、俺を、俺を力つけろよ」ってそこから再び演奏が始まるっていうね・・・」

お「トミさあ、うまいのにさあ、宮本の評価低すぎだよなあ、ちょっとあれ」

さ「・・・ちょっと良い話だなあと思ってさあ」

せ「好きだもんなあ、そういうの・・・EZOのハイロウズもそうだったじゃない。君がはしゃいでたの、何だっけ?」

さ「ああ「スーパーソニック・ジェット・ボーイ」ね」

せ「ああ、あのマーシーのところか。そういうエピソード好きだよねえ」

さ「ヒロトがステージから降りてどっか行っちゃって、チンポ出してて、その間ずっとマーシーがボーカルとって歌うのね」

せ「あれ、でもホントカッコ良かったなあ・・・」

さ「全然「エレカシ2」の話じゃないって・・・」

お「・・・当時さあ、もてないながらも仲良かった歯医者のキタシロさんっていうんだけどさあ・・・」

せ「え?ヨシミちゃん?」

お「え?・・・いやいやいや、違う違う違う。歯医者の歯科助手のコですよ」

せ「なんかあったっけ?」

お「いやいやいや、あったんですよ」

せ「ああ、歯医者に花束持っていった話だ」

お「そうそうそう」

せ「キチガイだな」

お「キタシロさんがね「友達の女の子がバンドマンと付き合ってるんだけど、なんか全然売れなくて困ってる」って「何やってるの?」って言ったら「なんかベースやってる」って言ってて「デビューしてるの」って言ったら「してる」って「何て言うの」って言ったら「エレファントなんとか」って「マジ?」って・・・成ちゃんだったのよ」

せ「へえ〜」

お「「それ大丈夫。大丈夫。絶対売れるからそのコに言っといて」って言ったよ。「2」出た頃だよなあ」

さ「でも成ちゃんって早くから結婚してたよなあ」

お「あ、でも結局そのコとはすぐ別れちゃって。そのコに見切られちゃって・・・」

せ「大根も見切られちゃって・・・そもそも付き合ってたの?」

お「ビミョウ・・・」

せ「やったの?」

お「ビミョウ・・・」

さ「・・・じゃあ1曲ずつやっていこうぜ」

お「いいよ」

さ「「優しい川」から」

お「いいよ。じゃあ俺から。まず、その、東邦学園に通ってた頃、クソみたいな「東邦ビデオフェスティバル」っていうのが毎年あってさ、ほんで2年生の時に・・・1年生の時は「リンダリンダ」で何かしたんだけど・・・」

せ「へえ〜、そりゃやっぱ当時からメジャーに走るアレがあったの?」

お「違う違う・・・なんかさ、学校でも存在自体浮いてたから・・・」

せ「だろうな」

お「だろ?なんかさ、バカみたいじゃん。スネてるだけだったら。なんかあるじゃん、やっぱ一応なんかあるぞってところを見せたかったんだと思うんだけど・・・」

せ「へえ〜かわいいなあ〜」

お「1年の時はさあ・・・あっ!ハイロウズ(テレビでハイロウズがやってる)見なくていいの?」

さ「フジロックだ」

お「一時停止」

・・・・・・

お「そうそう、だからそのビデオフェスティバルで・・・」

さ「すごいなあ・・・その切り替え」

せ「ねえ・・・食いながら」

お「・・・で、いざ卒業って時にまたあったんですよ。で、そん時はもうこの曲しかないなあと思って」

せ「ホントにドブとか撮ったの?野澤に聞いたんだけど、ロケの話」

お「うん。野澤君と一緒にさ。当時、ほら福生とかにもかぶれてたからさ・・・」

さ「大根が・・・大根もやっぱそういうところ通ってきてるんだ?」

せ「かじったんだ?きっちり」

お「そうそう。そんで学校のビデオカメラ借りてさあ「福生のなんかカッコイイ景色とか撮ってつなげようぜ」とか言って撮りに行ったんだけど、野澤君と遊んじゃって結局ビール飲んで帰ってきただけで、何も撮んないでさ・・・で、締め切りギリギリになちゃってさ、で船橋の工業地帯、ホント地元の工業地帯に撮りに行ってさ・・・」

さ「川で撮ったんでしょ?」

お「そうだよ。「優しい川」だから」

さ「どこの川?海老川?」

お「海老川。海老川のホント河口のほう。ホントに汚ねえところ」

せ「どこ海老川って?」

お「船橋の・・・どこから流れてるんだろう?」

さ「ずっと北の方から流れてるよ。船橋といえば海老川ってくらい有名」

せ「どの辺流れてるの?」

さ「俺、夏見っつうところ住んでたけど流れてたよ」

お「その辺はちゃんと流れてるけど、町中はきっと地下とか流れてるんだよな?」

さ「そうだね」

お「工業用水とかになっちゃうんだって」

せ「船橋港の辺りで?」

お「最後は下水とか一緒になっちゃって・・・河口の方はわりと広いんだよね・・・で、最後の工業用水の方はものすげー汚くて臭くて・・・」

さ「そんで紙とか流したんでしょ?」

お「そうそう、ボブ・ディランのパクリなんだけどね」

さ「その映像見た?関君は?」

せ「見てない。見せてくれない」

お「いや、見せてるよ」

さ「俺も見てない。角田が見たって、それで話だけ聞いた。「なんか川に紙流すんですよ」って」

お「それがビデオ・フェスティバルで「堤賞」もらって、業界に入るきっかけになったんですよ」

さ「その紙には何か書いてたの?」

お「歌詞「優しい川」の」

せ「かあーっ」

さ「ナルシストだねえ」

お「ボブ・ディランがそうだったから」

さ「堤さんはボブ・ディランのそれ知らなかったの?」

お「いや知ってたよ。ボブ・ディランのそのクリップをさらにオーストラリアの何だっけかなあ・・・何とかってバンドがまたパクって作ってたのよ。そのパクリだと思ったみたいね。俺はそっちは全然知らなかったんだけど」

せ「それで気に入られたんだ・・・へえ〜・・・それで面接とかどうしたの?」

お「面接もクソも無いよ」

せ「あ、それがもう「堤賞」の賞品だったの?ニューヨークご招待が?」

お「そうそう」

さ「あ、「堤賞」っていうのとったんだ。堤さんが大根の学校に来てたんだ。それでニューヨーク行ったんだ」

お「そうそう。ご優待でね」

せ「ああ、そこがネックなんだ。「優」っていうのが」

お「だから「飛行機代は出さないよ」って言われてさあ・・・」

さ「ニューヨークから帰ってきた大根んちに遊びに行ってさあ、俺がニューヨークの話し全然ふらなかったらさあ「お前もっと普通「ニューヨークどうだった?」とか聞くだろ?」って」

せ「「そういうのねえの?」みたいな」

さ「そうそう「だからダメなんだよ」みたいなさ。で、おみやげがさ、むちゃくちゃでっかい靴とさ、むちゃくちゃでっかい帽子でさ「どっちがいい?」ってさ・・・「・・・帽子」って」

お「靴は自分で履いてた、しばらく」

さ「俺も帽子気に入ってかぶってたなあ、しばらく」

せ「もらってねえなあ・・・ぜってえ・・・」

お「疎遠だったんじゃないの?」

せ「疎遠じゃねえじゃねえかよ。そのあとすぐ俺をたぶらかしに来たんじゃねえかよ」

お「そうか」

さ「ああ、あの午前中だけ働いて関君帰っちゃったってやつでしょ」

せ「そう」

お「現場一人で行くのイヤだったからなあ」

せ「そう、それだけで」

さ「「ごめんなさい」って書いて帰っちゃったんでしょ」

せ「何だっけ?男闘呼組じゃなくて何だっけ?」

お「幕末塾」

せ「幕末塾に手帳に落書きされて「もういい」って。正味4時間くらいしかいなかったって。「なんで俺こんなところで掃除してるんだろう?」って」

さ「それはどうだったの?関君にとって良かったの?失敗だったの?」

せ「いや、あれはあれで、その後の自分の人生で夢見る選択肢が減ったっていう部分じゃさ」

お「・・・だから「優しい川」に尽きるわけですよ、俺の中じゃ」

さ「俺はねえ「ココロに花を」っていうアルバムのB-3に「流されていこう」っていう地味な曲があるんだけど・・・」

せ「「ココロに花を」っていったら再デビューの・・・」

さ「そう。で、アルバムの発売2日前にね池袋のパルコのレコード屋でその曲が流れてきてね、イントロ聴いた時にエレカシの曲だって知らないで「イントロの感じが「優しい川」に似てるなあ」と思って聴いてたら、エレカシの曲だったと」

お「似てるっけ?」

さ「うん。ギターの感じがね。ちょうど今のかみさんと一緒にいてね」

せ「ああ、良い話のところだね。使わなきゃね」

お「え?俺のさっきの話は?・・・」

さ「だからエレカシだと思わずに聴いてて「似てるな」と思ったらエレカシだったんだよ」

お「・・・ふうん」

せ「・・・「2」の裏ジャケこれだもん・・・」

お「ハービー山口ね」

せ「ああそうだよね。ずっとハービーだったよね」

さ「代々木公園なんだってね。それ」

お「ああそうなの?踏切とかは?」

さ「それはわかんないけど」

せ「・・・こんなロックバンドねえよなあ」

お「この傘持ってるのは、ハービーってARBの写真も撮ってて「砂丘1945」のあれをそのまま持ってきたんだよ」

さ「おっ、大根君いい話いい話」

お「だからハービーのネタだよね。モノクロで黒い傘さしてるっていう。晴れなのに。晴れなのに傘さしてるっていうハービーなりのロックの解釈だよ」

せ「しかしいい話だよな・・・さっきの薩本の」

お「え?・・・じゃあ「優しい川」以上。関なにも無しな?」

せ「いやあるある・・・」

お「何でアンチョコ見るのよ?」

せ「・・・俺「ああ流浪の民よ」とかはまってたんだよなあ」

お「だから1曲ずついこうって言ってんじゃねえかよ!・・・しかし「優しい川」だよなあ・・・口笛の感じとかなあ・・・」

さ「ライブだと口笛のメロディー変えるんだよ」

お「ああ・・・あれシャウトはどこで入るんだっけ?シャウトとは言えないような・・・今だと歌詞カードとか「Ha・・・」とか入れちゃうけど、あんなのどうやって入れるんだよっていうような、あそこ凄いよなあ・・・「ナミダの顔が見える ナミダの顔が」のあとだ、絶叫ね、まさに。あれは「1」には無かったよね」

さ「そうだね・・・「諸人」とかがね「ああ、ただの大学鬱屈者じゃねえな」って・・・」

せ「見直したとこ?」

さ「そう、見直したとこ」

お「やられちゃったって?」

さ「そう、やられちゃった」

お「しかしベストソングよ俺の中で。「優しい川」が」

さ「わかんないよ。この男は。すぐ変わるから」

お「いやいや、ホントに」

せ「うま過ぎんだよ、いちいち。あのコメントとか見てると。ホント小器用でリアリティー無いよ」

お「これはめちゃくちゃリアリティーあるよ。これは」

せ「これはね。これは伝わってくる。これはね」

お「・・・だから「優しい川」はよお・・・あっ!ちょっとコーネリアス見ねえ?ちょっと止めて」

せ「ええっ???」

次回、第3回は「ラプソディー / RCサクセション」


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