他の月を見る


☆- 大根仁の脳天日記 -☆

(2002/06)


[ 砂蜘蛛 ]
午前中、一本打ち合わせをして
映画「少林サッカー」を観る。聞きしに勝る馬鹿映画。
おまけに時間の都合で日本語吹き替え版を観たんだが
これがかえって良かった。余計な頭を使わずに観られたから。
客のほとんだは小学生だったがずーっとバカウケ、小学生ってこういうギャグ
ほんと好きな。とはいえ自分も大笑いだったんだが。
本当に言ってたんだか吹き替えで付け足したんだか
わからないが「お前は火星に帰れ!」ってギャグにやられた。

夕方もう一本打ち合わせ。

夜、横浜へ。MATCH64のチケットを持って。
じっくりと、落ちついて、楽しんで観た。
後半2得点のゴールサイドで観られたことも嬉しかったが
なによりも試合が終わった瞬間からのカーンから目が離せなかった。
ゴールポストに背もたれたまま動くことが出来ず
チームメイトが来ても、フェラー監督が来てもそこから
離れなかった。やがて、歓喜のブラジルチームから一人の選手が
その輪を抜けてカーンに近づいてくる。カフーだ。
カフーに声をかけられ、握手をし、抱きしめられ、なにかの言葉をかわし、カーンはようやくゴールから離れた。

ブラジルチームにメダルが渡され、カフーがワールドカップを
手にするその間中、ドイツチームのほとんどの選手は
ピッチに座り込んで呆然としていたが
カーンはただ一人、しっかりと立ったままフェラー監督と
共に一部始終を見つめていた。
ボールが雨で濡れていなければ、カーンはあの1点目のきっかけに
なったリバウドのシュートを止められたのだろうか?

今回のW杯、日本の全得点とドイツの全失点を生で観た。
アイルランドとメキシコが好きになった。
ベルギーやスウェーデンのサッカーに驚いた。
セネガルとウルグアイの試合をもう一試合、観たかった。

夜中、近所のファミレスで打ち合わせ。

明け方、仕事で使う夏公開の映画をビデオで。

2002/06/30(Sun)


[ 雨の横浜はいいぞ! ]
朝から「錦鯉」第2話、編集。おもしろいぞ。
夜、「古舘の買い物ブギ」のディレクター柴田の結婚披露宴で
横浜インターコンチネンタルホテルへ。
入り口付近を車で通ると、なにやら物騒な雰囲気。
一目でわかる極道者たちがわんさか。
不況の折、ホテルもこのテの方々の会合を断れないのだろうか?
指が2本しかない人がいた。あと長髪のカッコよい人もいた。

新郎の柴田はバカヤロウだが、新婦のカナエちゃんは可愛い。
ANAにお勤めらしく余興でスチュワーデス仲間たちの
お約束の「お祝いアナウンス」があって、それがよかった。
「機長は柴田、チーフパーサーはカナエ、当機はここ横浜を
 離陸後、幸せな人生に向かって旅立ちます。
 視界は良好と推測されますが、途中倦怠期や思いがけぬ事態を
 向かえる可能性もあり、その際は乗客の皆様の暖かい
 お気遣いやお言葉をお願い致します」
みたいなベタベタなやつ。
同じ円卓にいた古舘さんと大笑い。いいなあ。

夜中、某劇団の某作家の方と打ち合わせ。

2002/06/29(Sat)


[ アイマミエズ。 ]
取材と打ち合わせと打ち合わせ。
最後の打ち合わせは大嫌いなANAホテル。
近くの席で織田無道氏が同席者になにやら説法。
ステーキを食べながら。

夜、食事を兼ねた仕事の話で三軒茶屋。
今村組や北野組で有名なスクリプター中田秀子さんと。
たくさんのパワーを頂き歩いて帰る。
道中、栄町に突然大看板
「やっぱ自分の踊り方で踊りゃいいんだよ 江戸アケミ」
なんのための看板かもわからんが
わかるやつには痛いほどわかる、江戸アケミ。

しばし立ち止まって見つめる。
2002/06/28(Fri)


[ 夕食はカニサラダとヨーグルト。 ]
徹夜明けで2時間ほど仮眠。
「錦鯉」第2話オフライン編集。
面白くなってきた。
編集後、記録のユリ女史がつないだ仮編集の
3、4話を観る。切なくそして面白い。
「室温」も「黒いハンカチーフ」もこの「錦鯉」もそうだが
やはりこの「舞台のドラマ化」という企画は
ぶっ通しで観ると俄然オモシロさが増す。
なんとかそんな機会を作れるようになるとよいのだが。

そういえばワタシ、免許証をなくしたまま不携帯で
車を運転するという生活をもう半年ちかく続けている。
いやあ、つかまらない時はつかまらないもんだね。
いや、そろそろいいかげん鮫洲に行こう。

夜中、久しぶりに事務所。
デスクが段ボール箱に囲まれており
デスク早川のメモ。
「事務所のあちこちにテメエの私物があったから置いとくぞ。
 さっさと片付けやがれ!この豚野郎が!!」との内容。
早川は新潟のド田舎で育ったせいか、上京して標準語が上手く
話せない自分に自己嫌悪を感じ自己啓発セミナーに入ったものの
バカ高い「自己開発費」ばかり払わされたせいで今度は人間不信に
なり、話す時には僕らには理解できない新潟弁か
標準語はスラングでしか話せなくなってしまった可哀想なコだ。
休日にはゴキブリと同居している青物横丁から自転車に乗って
代官山のパン屋までシナモンロールを買いに行く。

つい早川に関する説明が長くなったが
その段ボールを開くと出てくるわ出てくるわ
4年前引越しをした時に家の収納に収まらずに事務所に持ってきた
雑誌やビデオ、当時狂っていたフィギュア、CD、テープ・・・
つい見入っていると、その中に色あせた一冊のノートが。
無印良品の「らくがきちょう」。学生の頃、科目別にノートを使うのが
面倒くさくいつもこれにバラバラに書き込んでいた。
パラパラとめくると・・・あ、これ・・日記だ。

19歳の頃、堤カントクに拾われて御優待でニューヨークに行った時の・・・・。当時ニューヨークに住んでいた堤カントクの部屋で
居候させtもらって過ごした2ヶ月の日々がこと細かに書いてある。
「3月22日。夜JFK空港に着く。思いのほか寒い。
 堤さんの代理の牧野さん(20)が迎えに来てくれる。
 牧野さん、頭は大きいが性格は良さそう。
 イエローキャブに乗ってマンハッタンへ。」
で、始まるこのちょっとした旅行記。当然手書き。
まったく変わらない字面。と文体。
恥ずかしさと懐かしさで止まらずに読んでしまう。
ニューヨークで見た様々な出来事や出会った人々、観た映画、ビデオ
行ったライヴ、色々な初体験。ああ、俺・・・青い!!
でも14年たった今も、俺変わっていない。笑っちゃうほどに。
いやいや、変わらんもんだな。人間って。変わらないよ。

私信:堤さんへ。
今度これ見てくださいよ。
出てくるキーワードが懐かし過ぎて笑っちゃいますよ。
「山城」「大石」「カンボジアカフェ」「カフェモカチーノ」
「牧野さんと加藤さんの部屋」「18Fと19F」
「忍者巻き」「歩いて3分の映画館」「黒人のセキュリティ」
「窓から見えるコールガール」「大坪さんのシボレー」
「堤さんの口癖はバカウマ」
「牧野さんは廻りに人がいようといまいと大声で歌う」
「加藤さんは急に帰国が決まり、おかげでベッドが空いた」
「19Fの今村夫妻が大ゲンカ」
糞生意気で世間知らずで愛想の無いガキを、暖かく放任していただいていたあの2ヶ月、今更ながらありがとうございましたん。


2002/06/27(Thr)


[ 梅雨ってこれまた美しい字。 ]
漫画が好きで好きでたまらないんであるが
僕が好きになる漫画の基準はただひとつ。
「肉」がちゃんと描けているかどうか。
いくら画が上手くても「肉」がちゃんと描けてないヤツはダメよ。きたがわ翔とか。
逆に画が下手でもしっかり「肉」が描けるヤツは話も面白いの。
業田良家とか。
映像もおんなじ。いくら画がカッコ良くてもダメだよ。「肉」をちゃんとさ、
撮れるようになりてえなあ。



2002/06/26(Wed)


[ メガネの替え時。 ]
昔からメガネをかけている女性に弱い
所謂メガネフェチなのである
メガネをかけていれば誰でもいいかといえばそうでもない
土井たか子や、扇千景などはまっぴらだ
最近良かったのは三宿にあるパン屋さんの女性店長だ
どうでもいい話である

「錦鯉」のMA(音付け作業)が終わらず、さっき終了。
今夜から放送です。よろしくお願いします。
感想など伺えたらと思います。

2002/06/25(Tue)


[ 湯葉しゃぶを食す。 ]
朝から品川イマジカにてフミヤビデオパンフレットMA。
ライヴ会場だけで販売されるビデオ。
フミヤ氏の仕事はいつも楽しい。今回も楽しい。

MA中、ADの佐藤(21歳・童貞)の死んだ魚の目と
中途ハンパに伸びた髪が気になる。聞けば散髪代がなく
床屋さんに行けないらしい。
散髪代を出資することを条件に「ベッカムヘアー」にすることに。
1時間後、青物横丁の美容室から帰ってきた佐藤(童貞)は
見事ベッカムに変身(童貞だが)。
自分の中でも何かの自信がついたのか、死んだ魚の目も精気に満ちている。
恐るべしベッカムヘアー(童貞だが)。

夕方から夜にかけて私用を済まし、真夜中新橋の日本VTRで編集。


2002/06/23(Sun)


[ 大正9年という名のテクノミュージシャンがいる。すごく良い。 ]
午前中、昨日の取材の続き。@目黒
午後から「錦鯉」第1話本編集。@品川イマジカ
夜中から「古舘の買い物ブギ」古舘さん打ち合わせ。@テレ朝
この打ち合わせ、古舘さんの高いテンションについてゆくだけで
精一杯。いつも終わると反省。もっと的確な発言を!
さらに夜中、イマジカに戻って「錦鯉」テロップ入れ。

最近読書が足りない。いかん。

2002/06/22(Sat)


[ 口内炎が出来ても朝チョコラBBを飲むと夜、治っている。便利な体。 ]
午前中打ち合わせと取材をして
午後から「錦鯉」オフライン編集で品川イマジカへ。
1話ほぼ完成。これは、なかなか面白いんじゃないか?

明け方「天国と地獄」黒澤明。をビデオで。
そうそうこの作品、ダイナミックな演出、巧妙な脚本、
走っている列車を使っての撮影、黒澤監督の有名な
「あの家を壊せ!」などが有名だが
映画の前半はほとんど一つの部屋だけで展開される
舞台劇のようなのだった。すっかり忘れてた。
「演技者。」をやるようになってから一幕モノの難しさ、
オモシロさを感じているが、この「天国と地獄」は流石の
黒澤映画である。
アップ一切無し。トリッキーなアングルや芝居も一切無し。
なのに一瞬たりとも退屈しない。むしろ背を正したくなるほど
芝居の演出が的確だ。人物の動かし方はもう芝居とカメラアングル
が奏でる美しいハーモニーだ。言葉も無い。
いやいや参った。
参ってばかりもいられない。

2002/06/21(Fri)


[ ピカ★ンチ ]
カントクの日記に書いてあったので言ってもよいかと思うが
昨日観ていたステキでバカで最高な青春映画とは
嵐酒宴、じゃなくて主演の「ピカ★ンチ」である。
堤カントクの多くの作品の中でもこれだけ笑える作品は
初めてである。いやいや、これはとんでもない映画だ。
良い意味での超B級作品だ。そのバカさ加減はもはや
「トラック野郎」レベルである。
たっぷり刺激されて帰途についた。

今日は1日中品川イマジカでフミヤ氏のビデオ編集。
カツ丼、チキンドリアと高カロリーな日。

掲示板に
「お前、サッカーばっかり観てやがってドラマちゃんと
 やってるんかい!?手ぇ抜いとるんちゃうんかい!?」
というような趣旨のありがたい激励メッセージがあったが
やってるよ!ちゃんとやってるよ!!
W杯くらいで仕事のレベルが下がるほどだらしない人間じゃ
ないっすよ。心配して頂いてありがとう。

「室温」のような作品を求めてる方々をキッチリ裏切りますよ!
同じキャストで同じような作品は作りません。

次週「演技者。〜錦鯉〜」始まります。
事前にあんまり情報がない方が面白く観られると思います。

「Sink」いがらしみきお
購入&読了。
ギャグ漫画界のジョニー・ロットン、いがらしみきおの強烈な一発。
世間的には「ぼのぼの」で有名ないがらしみきおだが
僕が高校の時、夢中になったのは「サバオリ劇場」「ネ暗トピア」
「かかってきなさいっ」などの超過激かつ研ぎ澄まされた
ギャグセンスの4コマ漫画。
そして久々の長編「Sink」は今までとまったく違う絵柄のホラー漫画。
これ、ヤバい。
絵だけ見て「ぼのぼの」と同じ作者とわかる人はまずいない。
基本的にものすごくデッサンが上手いうえに、今作は
コンピューターを使っている。
たしか、「ぼのぼの」を描く前に、いがらしみきおは
ホラー漫画の構想を打ち明かしていたが、実際に描くことはなく
そのままになっていたはず。たしかタイトルは「グール」。
この「Sink」が「グール」なのか?
とにかくすごい漫画。

2002/06/20(Thr)


[ 夜、とてもステキでバカな最高の青春映画を観たのでこんなことを思い出してしまった。 ]
青春小説「センズリ・麻雀・パンクロック」


1986年、僕達は京葉工業地帯の煙突から出る煙を胸いっぱいに吸い込んでいた。
17歳、千葉県立の中途半端な進学校の3年生。
「SEX、DRUG、R&R」ならぬ「センズリ、麻雀、パンクロック」の日々。
テーマソングは「GET THE GLORY」。
あれから15年、栄光なんかすこしも掴んじゃいないけど

「臭え!」
夏が近づいてくると野田の下駄箱から悪臭が発し始める。
親友のコイツは顔は甘いジャニーズ系なのにこの足の匂いが原因なのかあまり女生徒
にモテない。なにしろ下駄箱の中にトイレ用の消臭剤(ラベンダーの香り)を入れても
上履き靴の強烈な悪臭と混ざり合ってしまい、朝になるとそのふたつの匂いが絶妙な
ハーモニーを奏で、生徒の登校時間にはその小さな扉の向こうからほんのりと
「くさやとウンコと腐った牛乳をシェイク」したような香りが漂い昇降口全体を包むのだ。
オウムに先立つこと10年、この船橋西高校では毎夏この異臭騒ぎがあった。
何も知らない1年生の女生徒が野田を好きになりその地獄箱にラブレターを入れよう
として扉を開けた瞬間気絶してしまったという嘘のような本当の話があった。
そのコはそれがトラウマとなり精神を病んで今も蓼科のサナトリウムにいるらしい。
「お前足の皮膚移植手術しろよ。」
「うるせえ」
鼻をつまみながら野田はK−SWISSの白スニーカーを脱ぐ。自分の匂いでも耐えられないらしい。それにしても自覚症状があるにも関わらずスニーカーを裸足で履くとは
どういうことなのか?わからない。
「で、どうすんだよ?」
僕は安全靴を脱ぎながら野田に聞く。
僕の名前は大江仁。

僕と野田は9月の文化祭でバンド演奏をする予定だった。
野田がボーカルで僕がベース。別にそれまでバンドをやっていたわけではない。
ただこのまま無為に高校生活が終わっていくのがイヤだった。部活に入るわけでもなく
勉強に勤しむわけでもなく、麻雀だけはやたらと強くなった高校生活。
野田は進学希望だったが、僕は戦後民主主義教育と偏差値至上主義に疑問を感じて
西高創立以来の秀才と言われながらも大学に行くつもりはなく教師たちから毎日のように、東大受験をするよう説得を受けていた。
というのはもちろん嘘で1年の最初の中間テストでクラス最下位の成績を取って以来
まったく勉強をしなくなった。というか授業の内容がまったくわからなくなってしまったのだ。卒業後どうするかはまだ決めてなかった。現在のように「フリーター」が
市民権を持つにはまだまだ早過ぎる時代だった。

「何がだよ?」
「バンドだよ。ギターとドラム、どうすんだよ?」
そうなのだ。バンドをやることは決めてもメンバーがいなかった。
僕だってベースの経験があるわけではない。
ただパンクロックが好きで野田とはよく都内のライブハウスに行っていた。この頃はインディーズブームとやらで自主制作でレコードを出しているバンド
が数多くいたのだ。KENZI、ラフィンノーズ、ウィラード、有頂天、リップクリーム、ガスタンク、コブラ、ギズム、コンチネンタルキッズ、ガーゼ、原爆オナニーズ
と同時にBOφWY、スライダーズなどのバンドがメジャーシーンで活躍をし始めていたがそれらのメジャーバンドは僕らから見ればFUCK!だった。
ほんの半年前まではBOφWYのコンサートに行って拳を上げていたのにもかかわらず、インディーズ系のバンドのライヴに行くようになってからは「あんなのダセエよ。」
と高校生ならではの短絡的な発想と変わり身の早さですっかりパンク思想にかぶれて
いた。

僕がベースを選んだのはパンクバンドのベースがとにかく簡単そうに見えたからだ。
とはいってもこの時点で肝心のベースすら持っていないのだ。
なのに気分はすっかりシド・ヴィシャスでストラップはチェーンにしようとか
ステージでベースを叩き壊そうとか、そんなことばかり考えていた。
要は目立ちたかったのだ。モテたかったのだ。
しかし、何しろメンバーがいないのだ。
「関川たちはもう演る曲も決まったってよ。」野田が言う。
「何やんだよ?」と僕。
「ルースターズとビートルズとか言ってた。薩川がギターやるらしいぜ。」
「きったねえ、あの野郎俺が誘ったとき断ったくせによ!」
「まあ、いいじゃん。だってアイツ後ろ髪長えじゃん。あんなのパンクじゃねえよ」
「そうだなああ、どっかにいねえかなおい」
そんな話をしていると廊下の向こうから永島が歩いてきた。
コイツは裏切り者だ。ついこの間までは一緒にライヴに行ったいた仲間で、バンドにも
誘ってギターをやるはずだったのだが突然何の理由も言わず「やっぱやめる」と
言い出したのだ。背も高く顔も少しだけハーフぽかったので入れてやったのに。
ギターが弾けるかどうかは知らなかったけど。
「シカトしようぜ。」
僕らは顔をそむけ永島に気付かないフリをしたが、ヤツは何ら悪びれる様子もなく
話しかけてきた。
「よう、どうした?バンド」
「・・・・」
「何だよ、その様子じゃまだメンバーも決まってねえってか」
「関係ねえだろ」
「まあ頑張れよ、見には行ってやっからよ」
と言って永島はキルティングの巾着袋を片手に教室に消えていった。
巾着袋は当時の西高生の必須アイテムで彼女に編んでもらったものを誇らしげに持つ
のが流行っていた。モテない僕らには無縁だったが。
「あの巾着、かあちゃんに編んでもらったんだぜ。」
「マジ!?ダセエ!パンクじゃねえよ!」
「あんなヤツ入れなくて正解だったな」
「だな」
昼休み話すことを約束して僕らはそれぞれの教室に別れた。

つづく。



2002/06/19(Wed)


[ カレーそばには鶏肉。 ]
徹夜のまま、「錦鯉」ロケ。
が、予定してた撮影場所が雨で使えず。
「酒に飲まれる」プロデューサー内山氏と相談し急遽別場所へ。
最初に予定していた場所も良いロケーションだったのだが
こっちはこっちで結果オーライ。
夕方オールアップ。

W杯、日本敗退も韓国勝利も頭炭酸状態でうまく処理できず。
グレートワンダフル勝てば官軍ワールドカップ。

夜、あんまり盛り上がらない打ち合わせ。

疲れて泥眠。
2002/06/18(Tue)


[ 夏には「道頓堀水泳大会」っていうのもあるらしい。(本当の話) ]
徹夜のまま大阪へ。
W杯「日本VSチュニジア」戦。
行きの新幹線の車中、ドラマ「錦鯉」カット割。
やはりカット割はW杯観戦に向かう新幹線の中に限る。
途中、弁当を食べるが気持ち悪くなり半分も食べられず。

長居陸上競技場。
阪神タイガースのハッピを着た人がチラホラ。
・・・・どうにかならんものか・・・

で、ゲーム。
トルシエ監督、「COACH」ではなく「DIRECTOR」という訳の
方が似合う。「計算」ではなく、リスクを背負った「戦略」を「演出」している。
そしてその演出家より役者たちの方がスゴイのだ。

試合後、今回のW杯でフラッグボーイ(選手入場の時、最初に
FIFAの旗を持って出てくる少年少女たち)の世話をしている
人たちと祝杯@超バカ美味・焼肉屋「朋苑」。
W杯の裏ちょっといい話をたくさん聞く。

最終の新幹線で帰るつもりで、新大阪駅から近いこの店を選んだのに
飲み食いしているうちに、うっかり時間を逃してしまう。

プロデューサー内山氏に電話し、お詫び。
すいませんすいません。確信犯ではありません。

せっかくだからと道頓堀名物のダイブを見物に。

ナンパ橋で見物していると、上機嫌の外人3人組に抱きつかれた。
そうかそうか、この人たちの国もきっと決勝リーグ進出が決まって
一緒に祝ってくれているんだな。
「Where are you come from?」
「オーストラリア!!」
「・・・・」
全然関係ないじゃん。
「ええと・・・プレイオフ、惜しかったですね、ウルグアイでしたっけ?」
と話すと、キョトンとしていた。
それすらも知らないんかい!

急遽取ったホテルに戻り、カット割の続き。
やはりカット割はW杯観戦後のホテルの部屋に限る。

とりあえず、予定していた今回のW杯の生観戦ツアーは終了。

サッカーは面白い。本当に面白い。



2002/06/14(Fri)


[ 三宿ジョナサン。 ]


昼前からお台場フジTVで「錦鯉」リハーサル。
合間に、きたろうさん、本間しげる氏とナンシーさんの話。
返す返すも残念。
そういえばナンシーさんはウチの近所に住んでいたらしく
よく駅前のスーパーやお惣菜やでお見かけした。

夜までみっちりリハーサル。
今回も3日間と、短い稽古期間。
役者の皆さんの集中力には頭が下がる。
きたろうさん、「稽古嫌いなんだよなあ」とか言いつつも
初日から台本をほとんど持たずセリフがほぼ完璧に
入っているのが憎い。
でも今日はサトエリにセクハラ行為をして蹴られていた。

トニセンの二人・・・今回も素晴らしい。

夜、三宿ジョナサンでカット割。
ドリンクバーのみで9時間居座ってしまった。
やはりカット割はドリンクバー付きのファミレスに限る。

3話までカット割終了。

2002/06/13(Thr)


[ 唯一無比。 ]
ナンシー関さんが亡くなった。友人の「関」からの電話で知る。
TVに対する偏愛と鋭過ぎる視線と切り口、毒の効いた文体は
誰も真似が出来なかったし、これからもあんな人は現れない。
明日の週間文春が遺稿になるかと思うが
今週の週間朝日のコラム「小耳にはさもう」も、もう見事としか言いようの無い素晴らしい出来だった。
「小耳にはさんだ」のは辻仁成の中山美穂に対する言葉「やっと会えたね」
これはもうマトモな神経の持ち主なら誰しもが超鳥肌級の
寒さを感じたところではあるが
ナンシーさんの切り口は流石であった。
「美人界の4番打者・中山美穂に対する【辻仁成】という危険球」
・・・・・見事・・・・。合掌・・・・。

自分が関わった番組も何度か「斬られた」ことがあったが
それはもう心地よいくらいの斬られ方だった。

朝から夜まで本番〜打ち合わせ〜資料読み込み〜脚本直し
まだまだ終わらず。

2002/06/12(Wed)


[ 目黒デニーズ。字面がかっこ良い。 ]
昼から衣裳合わせと稽古。「錦鯉」。
初対面のミッキー・カーチス氏。
基本的にやりたいことしかやってこなかったし
また廻りからそれを許されて生きてきた人のみが発するオーラ。
誰も知らない大傑作Vシネマ「復讐の天使・KAMIKAZE TAXI」の裏話を聞く。大笑い。

きたろうさんも加わり、稽古が良いカンジになってきたところで
タイムアップ。残念。

夜・「錦鯉」脚本の本間しげる氏と目黒デニーズで脚本直し。
となりに座っていたカップルがフードバトラー並の食欲で
二人で10000円分くらい食べてた。

夜中、W杯のダイジェストをスカパーで。
後世に語られる価値のあるスゴイ大会。
フランスよりもウルグアイ敗退のほうが悲しい。

チュニジア戦、ガンガンに攻めてくるチュニジアに対し、
いよいよ日本のファンタジスタ、中田・小野が炸裂する。

堤監督へ私信。
きたろうさんが
「ライヴ(シティボーイズ)、来てくれなかったなぁ・・
 犬ちゃんもいたのになあ・・待ってたのになあ・・・」
との事です。

2002/06/11(Tue)


[ THEピーズ・復活は千葉LOOKから。 ]
朝から脚本読み込み&勉強。
健康的な昼飯をとり、打ち合わせ。
夕方からお台場フジテレビ。ドラマリハーサル
次回「演技者。」====「錦鯉」作:土田英生(MONO)
出演はV6長野&坂本コンビ。
他には中山エミリさん、佐藤江梨子さん、きたろうさん
大河内浩さん、ミッキー・カーチスさん・・・などなど。
初日っぽいカンジで終わる。


2002/06/10(Mon)


[ 「アイ・アム・サム」CMだけで泣けちゃう。 ]
朝早く起きて仕事をいくつか済まし
クローゼットの衣替え。途中で飽きてしまってプール。
2キロほど泳いで。

夕方、W杯「日本VSロシア」横浜国際競技場へ。
ベルギー戦と違って今日は終始楽しく観戦。
内容もスコアも予想通り。
サッカーは面白い。本当に面白い。

地元に戻って、スタジアムではバラバラだった友人たちと
落ち合い祝杯。
自宅に戻って、ちょっと仕事。

2002/06/09(Sun)


[ やっとハッピー。 ]
昼、仕事に行く途中、広尾のロック花屋・温花家に寄ると
ロック社長・薩本が何やら興奮している。
「どうしたの?」
「・・・いいか、落ちついて聞けよ・・」
「何?」
「復活だよ」
「ん?」
「復活!」
「何が?」
「ハルとアビさんと、シンイチロウでやるって」
「え?」
「ピーズ、やるって!」
THEピーズ復活。ハル、リハビリ終了。


2002/06/08(Sat)


[ 砂丘2002 ]
朝から浜松・中田島砂丘。
炎天下の中ロケ。
1日で真っ黒。
日没と共に撮影を終え東京に戻り打ち合わせ。
深夜終了。
自宅にて何本かのVTRチェック。
明け方「イングランドVSアルゼンチン」をビデオで。


2002/06/07(Fri)


[ セブンイレブン限定・AKIRAフィギュア。流石の海洋堂、素晴らしい出来映え。 ]
W杯「サウジVSカメルーン」を観に、埼玉スタジアム。
というのはさすがに嘘。

朝から自宅にて仕事。
「乳酸菌」に関する資料読み込み。よくわからん。
夕方から事務所で明日のフミヤビデオの撮影の準備。
夜、事務所にて「フランスVSウルグアイ」を
クレッシェンドが大枚はたいて購入したプラズマ大画面で。

その後シコシコと明日の準備。

2002/06/06(Thr)


[ 観客席にリトバルスキー。とりあえず握手。奥さんはキレイ。 ]
そんなにスポーツや祭り好きではないし、基本的には他人がやたらと
盛り上がっている姿を見ると「ケッ!」と、
思ってしまう方なのだが、サッカーとフジロックだけは
そうもいかない。

朝から打ち合わせを二本。
どちらでも「なんでこんな時間なんですか?」と聞かれる。
すいませんすいません。

夕方からW杯・鹿島スタジアム「ドイツVSアイルランド」。
昨日と違って今日は落ちついてじっくりと「サッカー」を楽しむ日。
派手さはないが、渋いサッカーを楽しむならば
1次リーグではこのカードは最高だと思う。
東間道・成田近辺で前方に、前後をパトカーに挟まれて
走るバスを発見。「もしや・・・」と、近づいてゆくと
!!!!!!アイルランドチームのバス!!!!!!
運転する友人Yを置き去りに助手席の窓を開けて箱乗り状態で
思いきり手を振る。時速120キロ。
馬鹿な日本人に気付いたアイルランドチームの選手たちが
窓を開けて俺に手を振ったりガッツポーズをしてくれる!!
あ!ロビー・キーン!名前知らないけど監督!
嬉しい!バッグに入れていたドイツのユニフォームは
運転する友人Yにプレゼントし、急遽アイルランドのサポーターになる。U2好きだしな。
鹿島に着くと、去年「早乙女タイフーン」撮影時にはなかった
スタジアムまでの直通道路が出来ている。
1年前まで田畑と森だったはず。
アントラーズで実績を作っているだけに、行政の取り組みかたが
尋常ではなく早いんだろう。
スタジアムに着くと昨日の埼玉にはなかったワールドレストラン状態の
屋台村。ここでアイルランド人もドイツ人も日本人も入り乱れて
試合前のひと盛り上がり。Yとカメラを買い、両チームの
サポーターたちと写真を撮りまくる。
フジロックの雰囲気によく似ている。世界各国の料理を揃えている
あたりが、さすが鹿島。
それにしてもアイルランド人の数がスゴイ。
そしてどいつもこいつもみんな陽気。
アイルランド人サポーターにつられてこっちも楽しくなってゆく。
夕闇の中、みなが笑っている。


で、試合。一瞬も気を抜くことの出来ないスゴイ試合。
観に来て良かったあ!
最後の最後、それまでどう攻めても開くことのできなかった
ドイツGKカーンが守るゴールをついにアイルランドが開く。
決めたのは俺に手を振ってくれた、あのロビー・キーン!!

あああ・・・。

夜中事務所に戻ってきて仕事。
脚本直し、構成作り、秋の企画のシノプシス作り。


2002/06/05(Wed)


[ 大宮のキャバクラ街「W杯の続きは当店でゲットゴールして下さい!」との呼びこみ。 ]
朝。次のドラマの美術打ち合わせ。
無理な注文をする度に酒癖の悪いプロデューサー内山氏が
スナイパーの目つきで睨む。怖い。
でも、お願いウッチー!水槽だけはやらして!

W杯・埼玉スタジアムへ。
カテゴリー3の席はゴール真裏。すっごい良い席。
鈴木のゴールも稲本のゴールも目の前で観ることができた。
コスタリカ人の最低な笛さばき。
ベルギーは強い。すっごい強い。
だから日本も強い。
僕は本気でベスト8まで行くと思っている。

サッカーは仕事に関係の無い、学生時代の馬鹿友人と
観に行くのが楽しい。
今日も零細企業経営者兼アダルトグッズ収集家・関くん、
広尾のロック花屋温花家店長兼透視能力者・角田と。

夜中事務所に戻って「古舘の買い物ブギ」構成作りと
諸々VTRチェック。と、いくつかの仕事。

2002/06/04(Tue)


[ 1940年代のオリベッティ製タイプライターのポスター発見。8000円。高え。でも欲しい。 ]
頭痛は気合では治らない。
ズキズキ系ではなくガンガン系。
昨日よりはマシだが。

パルコ劇場「ダブリンの鐘つきカビ人間」観劇。
頭痛も吹っ飛ぶ。
ただただひたすら脱力。
「舞台でしか出来ない事」が全て詰まっていた。
作品そのものが怪物。
水野真紀さん、ドラマやCMのあのイメージ「可愛い奥さん」っぷり
がどうにも苦手だったのだが、そんな事を思っていた自分を呪う!
俺の馬鹿!!
そんなパブリックなイメージを壊すことなく
水野さんの良さを最大限に引き出す脚本の妙!演出の凄さ!
ああ、これぞ・・・・なんだ!?なんだかわからんが
とにかく水野真紀さんは素晴らしかった。
エンクミ、「中途ハンパなアイドル」だと思っていた俺の馬鹿!死ね俺!
とにかく打ちのめされるだけ打ちのめされた「ダブリン〜」。
終演後、長塚さんに挨拶。
ちとシビアな話。

ロビーで二瓶鮫一さん、生瀬勝久さんに会う。
生瀬さん、「トリック」以来。


本田劇場「春子ブックセンター」。
こちらもこちらで違った意味で打ちのめされる。
終演後三宅兄貴に挨拶。しにいくと、ナイロン新谷さんがいて
兄貴に紹介してもらう。昔から好きなので
兄貴のことはほったらかしで新谷さんに見惚れる。

頭痛はいつのまにかどこかに行っていた。
便利な体。

椎名兄妹のカバーアルバム。
個人的には兄に軍配。

夜中、近所の公園に蛍の放し飼い(?)に成功(?)している
ところがあることを知り、テクテクと歩いて見にいく。
いたいた。きれい。きれいだ。

夜中、今週やらにゃいかんことをまとめる。
気が狂いそうになる。
年を重ねるごとに不器用になっているような気がする。

が、「でもやるんだよ!教」の信者としては
「でもやるんだよ!!」


2002/06/02(Sun)


[ 偏頭痛。 ]
1日中偏頭痛。
2002/06/01(Sat)